本研究室は、緑豊かなランドスケープの保全と創造のための理論を確立し、そのための技術を開発し、具体的な緑地計画や空間デ ザインを提示するための研究を行っています。学術的な基礎や技術的な応用、芸術的な表現を含む実践的な提 案をその中にすべて含む、たいへん総合的な領域です。現実の公園緑地行政や自然環境行政、まちづくりや緑化関連事業と密接に関わり、成果を社会に還元していくことが求められています。
対象とする場は従来の造園学が取り扱っていた庭園や公園だけでなく、都市や里山、自然公園、さらには海外の砂漠化地にまで広 がり、テーマもアメニティだけでなく、生物多様性国家戦略に対応して、エコロジカルネットワークや野生生物生息環境も重要になりました。現在の具体的な研究テーマは、学生個人の興味と得意分野を生かして、多様に広がっており、つぎのような分類ができます。
A. 庭園文化の歴史やデザインの原理を探る―庭園史・デザイン理論
B. 自然環境の保全と賢明な利用法を研究し、提案する―自然保全・計画
C. 野生生物生息環境の保全と創造の手法を開発する―自然再生
D. 健全な緑の育成モニタリングと管理の手法を開発する―緑化・樹木診断
たいへん多様ですが、キーワードはランドスケープです。自然と文化の織りなす、歴史的にダイナミックに形成されてきた秩序 = ランドスケープに潜む論理を探り、これからのありかたを提案するために、さまざまな専門領域の成果と手法を応用します。最近、景 観生態学、リモートセンシング、GIS、コンピュータ・グラフィックスなどが必須になってきました。
学生の進路は研究職のほか、環境省、国土交通省、自治体の自然保護や公園部局、建設会社やコンサルタントのランドスケープ部門が主なものです。
京都大学大学院地球環境学堂・学舎の景観生態保全論分野と密接に連携した教育研究を行います。
<分野配属までに履修しておくべき科目>
森林基礎科学F、森林フィールド系実習及び実習法、造園学、造園学実習I
<そのほかに履修を推奨する科目>
森林基礎科学A・E、森林基礎科学実習I・II、森林科学のためのPC利用実習、研究林実習I、基礎生態学実験及び実験法、応用生態学実験及び実験法
その他、分野に関連する多様な科目を履修しておくことが望ましい(不明な場合は、教員に相談してください)。
造園学実習では、庭や公園、広場のデザインや、プランニングに必要なGISやリモートセンシングの実習を予定しています。